プロぷよら〜をあきらめた理由



大学時代に私は講義や実習にも出ず、ぷよぷよをしていた。
雨の日も風の日も、雪が積もった日だって、日々日常の視界には、何をしていても上からぷよが落ちてくる。落ちてくる。

積み、挟み、仕掛け、千切って、消す。
ぷよる。
あれだけぷよっていれば脳がぷより始める(もう意味不明)。

今や少しムーブメントがみられるが、これはプロゲーマーになれるのではないかと思った。
ぷよぷよは競技性もエンタメ性も高い。技術や戦術も奥が深い。これは来ると思った。

講義も実習もサボる僕が医者になれるとも限らないし、なれてもイマイチな医者になる可能性は高い。
何か副業かそれ以上のものが必要かもしれないと思ったのだ。

そう思ってますますぷよぷよに打ち込んだ。
気分はもう完全に武道である。

が、私はある時気づいてしまったのである。

あれは確か御茶ノ水のゲームセンターだったと思う。
名うてのぷよら〜たちがいたところだったが、とあるぷよら〜のプレイをみて思った。

他人のプレイを見ているときは、自分ならこうするとトレースしながら見るものだ。
そのぷよら〜は速さとか戦術は別に自分と大差ないと思った。
しかし、何かが自分と違う。瞬間的な判断力・・?すぐにわからなかった。
超えられない壁を感じたのが、それを言語化できなかった。

帰り道に、御茶ノ水のバーガーキングでハンバーガーを食べている最中、もう9割がた埋まったバーガーキングのスタンプカードをぼーっと見ながら閃いた。

色だ。

色なんだと思った。
ぷよぷよには、青ぷよと紫ぷよがあって、おそらく通常・正常のプレイではなんの問題にもならない。しかし最強界では一瞬の判断の差が重要になってくる。

あのぷよら〜と自分との差は、おそらく、「NEXTぷよ(次と、次の次に落ちて来るぷよぷよの組)」の色を瞬間的に認識するのが劣っているのだ。そういう仮説を思いついたのだ。

確かにそれより前から「色」は弱かった。
自分がこういう色だと思っていたものが、他人と認識が違かったことは何度もあった。ちなみに今もある。

寂しい話だけれど、そのあとくらいから急速にぷよ熱(ぷよぷよフィーバー)がおさまってしまった。

あのとき僕は確かにプロぷよら〜を目指した。
なっていたら今頃sSports界で有名人となり年間数億稼ぐプロゲーマーに・・・

まあなっていない可能性の方が高い。
高いかもしれないが、大学生・國松淳和はあのとき確かに頂上を目指した。
今は歳をとり、頂上だけが全てではないと思えるまでは熟したと思う。

ただ今は、いろんな意味(察して)でプロ業界に身を置いていないこともない。
不規則かつ瞬間的に現れる青ぷよと紫ぷよの色合いの差を平然と弁別することが、それが毛髪の直径くらい小さな差であっても、とても大事で大きな差に繋がるのだ。そう心得ていようと思った。